玉川村は福島県の中南部に位置し、起伏を活かした日較差と阿武隈山地から流れ込む豊富な天然水により米づくりに適した土地を持っています。
実際に、収穫される米のレベルも高く有名ブランドと並ぶ実力を持ちながら、その知名度は低いままです。
そんな玉川村の米をより美味しく、より多くの人に知ってもらうための活動をしているたまかわ水稲栽培研究会について詳しく解説していきます。
たまかわ水稲栽培研究会とは?
たまかわ水稲栽培研究会は、玉川産の米の食味と品質向上及び水稲経営の所得向上を目指し、生産者や関係者との情報交換や勉強会を通して、米づくりに取り組むことを目的とした会です。
令和3年発足で、会員は玉川村の米農家、地域おこし協力隊で構成されています。
たまかわ水稲栽培研究会の活動内容
研究方法
村内の条件の異なる田んぼ(圃場)を用意し、それぞれ「①栽培テーマ」「②肥料について」「③農薬について」の栽培計画を立て、「収量・食味値・整粒値」の目標を掲げて米を栽培します。
①栽培テーマ | モデル圃場の栽培テーマ |
②肥料について | 使用肥料名、使用数量 |
③農薬について | 使用農薬名、使用数量 |
④その他 | 肥料・農薬以外の工夫 |
⑤目標 | 収量/食味値/整粒値 |
このように栽培条件を管理することで、より美味しい米を栽培できる要因の特定し次年度の研究に活かします。
これまでの研究
令和4年度は、村内2か所の圃場で栽培形態を「特別栽培」と「慣行栽培」に分けて栽培を行いました。
慣行栽培とは、明確な基準や規定はなく「以前からの慣わし(ならわし)として行っていること」を表します。つまり、農薬や肥料を正しく使用し、玉川村の米農家が以前から行っている栽培の方法を指します。
一方、特別栽培は、特栽ガイドラインに従って、慣行レベルの50%以下となる農薬使用回数や化学肥料の窒素成分量で栽培する方法です。
その結果は以下の通りでした。
モデル | A | B |
圃場 | 小高地区 | 南須釜地区 |
作付面積 | 810㎡ | 650㎡ |
栽培形態 | 特別栽培 | 慣行栽培 |
収穫量 | 390㎏ | 450㎏ |
- 【モデルA】の食味値はスコア77、整粒値74.7%
- 【モデルB】の食味値はスコア71、整粒値71.4%
※食味値とは、鮮度やつや・てり、たんぱく質及びでんぷんの含有量、ヨード呈色度など
上記の結果を踏まえ、令和5年度は6か所の圃場で研究栽培を行い、栽培形態に加え、肥料や農薬などのチェック項目を増やしました。
たまかわ水稲栽培研究会で収穫した米は県内施設へ寄贈
たまかわ水稲栽培研究会では、収穫した米を村内を中心とした県内の各施設へ寄贈する活動を行っています。令和5年度収穫の米は以下の施設へ寄贈しました。
- 玉川村小中学校
- 認定こども園 たまかわ クックの森
- 特別養護老人 たまかわ荘
- 福島県立石川支援学校 たまかわ校
- 特定非営利活動法人 Tomo 多機能型事業所 愛の郷(石川町)
- 認定特定非営利活動法人 パンダハウス(福島市)
令和5年12月5日(火)、玉川村への寄贈米を持って村長室へお越しくださいました。
今回の寄贈の目的として以下の通りお話いただきました。
子供達に美味しいお米、地元のお米を食べてもらいたいという思いで寄贈させていただきました。
玉川村の米はレベルが高く、そういったお米を子供の頃から食べていただくことで「食味(食品の味)」を培ってもらいたい。
また、地方の人口減少が問題視される中、玉川村では未来の希望である子供達に目を向けた活動が活発に行われているということをアピールしていきたい。
たまかわ水稲栽培研究会の今後の目標
たまかわ水稲栽培研究会は今後の目標について次のように話してくださいました。
水稲栽培に関する意識や技術を村全体の米農家に広めていき、玉川村の米の品質の底上げに貢献したい
- 玉川村の米の食味値のさらなる向上
- 収量の確保
- 玉川村産の米の情報発信
【まとめ】たまかわ水稲栽培研究会とは?福島県のトップレベルを目指して玉川村の米を栽培
あまり米所のイメージがなかった玉川村ですが、玉川村の米はレベルが高く、美味しいお米だということを再認識することができました。
また、玉川村の米はまだまだ可能性を秘めており、全国レベルになる日も近いのではないかと思います!
たまかわ水稲栽培研究会の活動を今後も追っていきたいと思います。
コメント